消費者理解と製品開発のためのAIを活用したデジタルツール

当社のデジタルツールは、消費者インサイトを、食品や飲料製品を作るための実用的なデータに変換します。その結果、製品開発のスピードが上がり、ビジネスでの成功の可能性が高まります。

消費者は、当社の行動や当社が創造するものすべての出発点です。しかし、今日の世界では、消費者の願望や要求は電光石火のスピードで変化しています。このような変化に対応するためには、各国・各地域の消費者インサイト、トレンド、嗜好を把握し、可能な限り迅速に対応することが重要です。そのため、ジボダン社では定量的および定性的なインサイトを提供するために、さまざまなアプローチとテクノロジーを開発してきました。

市場投入が可能な製品の設計

当社は数十年もの間、人間の知覚とデジタル化の交差するところで事業に携わってきました。独自に開発したハードウェアとソフトウェアの技術により、消費者の情報を風味開発のための実用的なデータに変換することができます。ここでは、デジタルおよび人工知能(AI)ツールのエコシステムから、いくつかの例をご紹介します。

ATOM

ATOM(Advanced Tools for Modelling) は、最先端のAIを用いて食品やフレーバーの配合を最適化し、お客様とのコラボレーションを促進します。20年以上にわたる研究を基に、ATOMは消費者の嗜好に沿った新しい選択肢とインサイトを生み出し、画期的な新しい食体験を共に作り出すことを可能にしています。

このツールを使った先行プロジェクトは大きな成功を収めています。例えば、ATOMは最近、チーズスナックの減塩に使用されました。通常であれば、材料の完璧な組み合わせを見つけるためには膨大な試行錯誤が必要ですが、チームはATOMによって予測よりもはるかに少ない選択肢の中から、塩分を33%減らしても味が変わらないという理想的なレシピを迅速に見出すことができました。

「ATOMは、AIと人間の直感との適切なバランスを取って、当社の専門家であるフレーバリストと開発者の業務を補っています。」

ファビオ・カンパニール、テイスト&ウェルビーイング、グローバルサイエンス&テクノロジーヘッド


 VAS (Virtual Aroma Synthesizer®)

VAS(The Virtual Aroma Synthesizer®) は、迅速なフレーバー作成と、言葉による風味表現のあいまいさを排除するために考案されたものです。現在もそのように使用されていますが、非常に大きな進化を遂げています。このシステムは、効率的で正確なので、コンセプトをより早く生み出し、「リアルタイム」のフレーバー作成を可能にし、お客様と当社のチームとの高度な対話を可能にしています。また、新型の小型VAS Airによって、携帯性が向上し、消費者テストのためのセットアップが簡単になりました

Virtual Aroma Synthesizer® (VAS)

VASを活用することで、フレーバーの共通点を見出すことができます。レモンを例にとります。スイスの消費者はアルゼンチン、イタリア、タイ、サウジアラビアの消費者と同じ香りを期待しているのでしょうか?レモンの香りには共通のパターンがあるのか、それとも地域によって消費者が期待するものが違うのでしょうか?VASでは、各地域の消費者と一緒になってこのようなニュアンスを正確に把握し、その結果を基に成功する商品を共同で作ることができるのです。.

アロマ・キオスク

Givaudan's Aroma Kiosk

アロマ・キオスク は、貴重なコンシューマーインサイトを収集し、商品をリアルタイムに推奨することを可能にします。この画期的なデジタル・センソリー・インサイトツールは、食料品店やショッピングモールなどの人の往来の多い環境で消費者とつながるために設計されています。小型で持ち運びに便利なこのシステムは、当社のATOMおよびVASとリンクした簡単で使いやすいタッチスクリーンで構成されています。消費者はさまざまな香りを嗅いで評価し、AIベースのアルゴリズムによりその結果を個別の好みのフレーバーに変換します。このデータは、製品開発を加速し、発売を成功させる可能性を高めるのに役立ちます。

メキシコでは、新鮮なイチゴのフレーバーに対する消費者の認知の変化を理解するために、Aroma Kioskを使いました。その結果は非常に驚くべきもので、世代によって味や香りの感じ方が異なることを示していました。例えば、年配の方が感じる新鮮なイチゴの属性は、若い世代では人工的なものだと考えられていました。

食の未来を共に創る

消費者の嗜好を理解するために一連の先進的なツールを利用することで、より包括的にフレーバーの多様性を探求し、特定の消費者グループを対象としたソリューションを生み出すことができます。こうした知見によって、製品をより早く市場に投入し、ビジネスでの成功の可能性を高めるためのインサイトをお客様に提供することができます。

22/12/2024