engage your senses

五感の科学

香りと味の知覚は、私たちの最も基本的な欲望に基づく、複雑な生物学的プロセスです。

脳は、化学物質から受けた情報を理解することができますが、この能力は、私たちが生命を維持する上で欠かせません。また、このプロセスを理解することも、化粧品と調理用の製品を創り出す上で不可欠です。

『Windows on the World: Taste and Smell』は、ジボダン社の限定版アンソロジー『An Odyssey of Flavours and Fragrances』の第3章です。この章では、化学教授のブリジット・プルースト氏が、味覚と嗅覚への訴求ではどのような働きがかかわっているのかなど、脳の嗅覚系と味覚系について説明をしています。

    

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空気中の物質​

私たちが何かの匂いを感じるのは、匂いのするものが、分子の一部を空中に放出し、それを私たちの鼻孔が感知するからです。

 

鼻孔の上(粘膜の中)には、鼻腔上皮組織と呼ばれる敏感な部位があります。イソギンチャクのようなものが付着した小さな組織が常に分子をとらえ、その情報を脳に伝達していると想像してみてください。

    脳にある二つの嗅球がこの情報をキャッチして、それに対応する三次元パターンを「ライトアップ」します。脳は、これを利用して、匂いを理解し、覚えるのです。 

    匂いを測定する​

    鼻の感覚は、主観的で、その人の経験により変わってくるため、匂いを数値化する必要があります。この「におい値」は、混合気体の臭気濃度をその検知閾値で割ることで求めることができます。

        

    調香術​

    香りづくりは、音楽づくりと似ています。 香りには、フローラル、フルーティ、アンバー系、スパイシーなどの「ノート」があります。ヘリオトロープとバニラ、オレンジの花が完璧な「ハーモニー」を奏でるのに対して、ベンゾインとカーネーション、タイムは「不協和音」を出します。 

    パフューマーは、すべてのノートのバランスをとり、天然香料と合成香料を組み合わせて、エタノールで溶解させ、時に「ジュース」という愛称で呼ばれるもの作り出さなければなりません。フレグランスの種類は、賦香率により決まります。 

    • 20~30%は香水
    • 12~20%はオードパルファム
    • 8~12%はオードトワレ
    • 5% 前後はオーデコロン 

         

    Chlorophyll Capsule, prepared by André  Chiang, during the Givaudan Chef’s Council, New York, June 2014

    味を感じる仕組み​

     舌には平均で1万個の味蕾がありますが、味蕾はほかに口蓋や咽頭、食道上部にもあるのです。

     

    味蕾は刺激を受けると脱分極して、神経伝達物質を放出し、これが感受性ニューロンに作用して、感受性ニューロンから脳の前頭前野にある大脳皮質に情報が伝達されます。    

    味の種類​

    味蕾は、5基本味に特に強い感受性を示します。いずれも、私たちが何を摂取しているかを脳に伝える上で、異なる役目を果たします。

     

    • 甘味(グルコース、スクロース、甘薯糖、てん菜糖)は、栄養素が豊富なものを識別します。
    • 塩味(塩化ナトリウム、食卓塩)は摂取した栄養素の電解バランスを確保します。
    • 苦味(ホップ、ピュアカカオ、キニーネ)。
    • 酸味(レモン、グレープフルーツ)は、食べ物に危険性があると、それを教えてくれます。
    • うま味(アジア料理のグルタミン酸塩)は、アミノ酸を識別します。

        

    フレーバリストの技​

    新しいフレーバーをデザインし、創り出すには、味覚の幅と、その国の文化的トレンドや料理の味についての深い知識が必要です。ジボダン社は、このお手伝いをするツールをいくつか開発してきました。

    • 「ムード・アンド・エモーションズ」は、7つの主な感情を味とマッチングさせて、作り手が新しいフレーバーでどのような反応を引き出したいかに応じて、フレーバーのプロファイルを作成するプログラムです。
    • 「フレーバー・ビジョン(FlavourVision®)」はトレンドを把握するツールです。お客様のブランド価値を踏まえて、それに合ったフレーバーづくりをするよう作り手を導きます。

    保存や調理をすることで、製品がどのような化学的変化を起こすかを知り、それに対応することもまた大切です。

    ジボダン社には、ソルティーとスイート、両方の2,200種類を超える(非独占的な)フレーバーのコレクションがありますが、味のプロファイルを進化させ、適合させる作業こそ、フレーバリストの腕の見せ所です。そのために必要なのは、各お客様のニーズを詳細に把握し、最適な配合割合を完成させるまで、連絡を取り合う協調体制につきます。