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ジボダン社のパフューマー、オンノを紹介

グラースとアルジャントゥイユでパフューマーとしての訓練を受けたオンノは、コンシューマー向け日用品の香りを専門にしてきました。クリエイティビティの秘訣や、ホームケア・パーソナルケア製品のフレグランス開発に伴う技術的な問題、新しいことや違うことを学ぶ必要性について語ります。

パフューマーになるには鼻が非常に良くないといけないと思われていますが、実はそうではありません。
「超人的嗅覚を持つ人間」には、普通の消費者のための調香はできません。求められるのは匂いの記憶力の良さです。香りを思い出して、イメージできる能力です。私自身は、およそ3,000種の原料を記憶できると思います。これは、ジボダン社パフューマリースクールで訓練され、身に付ける能力の1つです。とはいえ、たしかにパフューマーは何かを匂ったとき、人よりも速く「酔いしれて」しまうとは思います。

CP Perfumer Onno

日用品を使うとき、人は驚きと喜びを期待します。
パーソナルケア・ホームケア製品の調香には、芸術に対する興味と科学的素養の両方が必要です。もちろん人は製品にいい匂いを求めますが、フレグランスは製品を強化し、より効果を発揮させることもできます。また、香りと製品の基剤の相性も考慮する必要がありますが、技術的に難しいことが多いのです。こうした難しい問題に対処し、人が自分や家族のために家事をするときに楽しさを感じられるよう、常に新しい香りのソリューション作りに取り組んでいます。

私はシャンプーから表面洗浄剤まで、どんな製品の調香もします。​
元々興味があったのはパーソナルケアですが、ジボダン社のコンシューマー製品の事業展開に伴って自分を進化させ、能力を磨くことができました。また、ランドリーケアやエアケアに関する技術を取得しました。最近ではサーフェスケア、ホームケアも守備範囲になりました。それぞれの分野のニーズは異なりますが、いまや消費者は、製品を使用するあらゆるフェーズで様々な機能を発揮することをフレグランスに期待するようになりました。ですから、このカテゴリーの香り設計は、そういったすべてのフェーズですべての機能を発揮できるよう「フレグランスの中にあるフレグランス」を作るようなものだ、と私は考えています。

製品の効果に対する消費者の期待に、私たちは応える必要があります。
コンシューマー製品で難しいのは、アイテムごとに要求が異なることです。デオドラントのフレグランスは、臭いを消す効果が必要になります。衣類柔軟剤ではソフトな香りと清潔感、香りの持続性が求められます。フェイスクリームには別のアプローチが必要です。クリーニング製品の場合は、基剤処方が難しいことが多く、フレグランスはそういった厳しい環境に耐えられる設計にしなければなりません。

コンシューマー製品のパフューマーは世間の注目を浴びることはありませんが、消費者は私たちの仕事を評価してくれます。今日、人は香りについて非常に知識が豊富なのです。
ファインフレグランスのパフューマーは確かに特別な人たちです。メディアに取り上げられますし、この業界のスターです。一方、私たちは「ゴーストライター」のようなもので、クリエイティブではありますが最終的には才能を他の人にお貸しするようなものです。私自身は、世界最大のパーソナルケアと家庭用品ブランドの有名な香りを作っていることに満足していますし、いい香りは消費者行動で重要な役割を果たすものだということも知っています。ほとんどの人は製品を買う前に匂いを嗅ぎますし、使う前には間違いなくそうしますから。

アイデアは常にありますが、それがトレンドに合っているかを確認しなければなりません。​
良いコンシューマー製品はその香りで決まります。嬉しいことに今は、香りに対する人々の意識が非常に高く、消費者が香りのことをブログに書くなど、以前よりも香りのことが話題になることが増えています。人は常にもっとふさわしい香りを探していて、そのことが業界を刺激して、そういったフレグランスのイノベーションや提供につながっています。ジボダン社はトレンドに合わせるだけでなく、進化し続ける消費者の嗜好を把握しながらトレンドを推進しています。

コンシューマー製品のフレグランスにも、ファッションと同様にサイクルがあると言うと、よく驚かれます。
香りの好みは進化します。90年代のシャンプーの匂いをかぐと、その時代のものだと分かると思います。消費者の好みはサイクルで移り変わるのです。例えば、10年ぐらい前、ヨーロッパの消費者はクリスピーなグリーンの香りを好み、アメリカの消費者はもっと食べ物っぽい香りを好みました。現在、アメリカではエコ意識が高まっており、それがフレグランスのトレンドにも反映されて、よりライトでウォータリーなものへと進んでいます。ヨーロッパでは、よりヘビーでスイートな持続性のある香りが好まれています。

トレンドの動向には常に注目しています。適切なトレンドを正しいタイミングで、適切な相手に届けることが必要です。​
クリエイティブなプロセスは香料作りだけで終わらず、私たちはブランドのアイデンティティの強化にも努めています。ロゴ、パッケージや色はいずれも、そのフレグランスの個性を形作るものです。もし製品がナチュラルなポジショニングであれば、フレグランスもそのように香る必要があり、私たちはその指示に従って設計します。消費者に理解されやすいよう、メッセージングには必ず一貫性がなければなりません。

好きな匂いはありますが、それを仕事に持ち込むことはできません。作品が自分好みのものになってしまうからです。
人の好みは多様であることを認識しておかねばなりません。自分の好きな香りは他人の嫌いな香りかもしれませんので、個人的な嗜好を創作の現場に持ち込むことはできません。幸運なことに、この仕事では、様々な種類の非常に上質な精油に接することができ、それらの香りをかぐのが大好きです。個人的に強く思い入れがある香りもあります。例えば、ラベンダーをかぐと必ず、あの有名なプロヴァンスの畑を初めて見たときのことを思い出します。

私の人生で特に印象深いフレグランスは、自分が創ったフレグランスと、特別な思い出のあるフレグランスです。​
私は公の場で称賛されることがなくても、自分が創った香水を誇りに思っています。ゆっくりと時間をかけて有名になった香りは特にそうです。それ以外に個人的に印象的な香りは、子供時代を思い出させてくれる香りです。私はオランダ生まれですが、古典的なシトラスのコロンの香り、とりわけ「4711」の独特な香りをかぐと、祖母宅で過ごした暑い夏の日がすぐさまよみがえります。祖母は4711を、リフレッシュして気持ちを高める香水として使っていたのです。だだの香りではなく、五感に訴える経験をもたらす。これが、フレグランスが持つ美しい力です。