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持続力のある香りを目指して

かつて、香水は「鼻で聴く音楽だ」と言った人がいます。いま人々はその「音楽」をずっと聴き続けたいと願います。毎日使う物に触れるたび、心地よい香りを楽しみたいのです。これを実現するには、驚くほど高度な技術が必要です。ここでは、ジボダン社がどうやってフレグランスを操り、香りが常に存在感を示せるようにしているのかを説明します。

フレグランス。言葉の響きからして何かこわれやすいもの、丁寧にブレンドされた原料から醸し出される完成された官能の瞬間、そんなイメージが浮かびます。しかし、香水瓶の中に大切に納められるのではなく、まるで馬車馬のように産業の最前線で奮闘するフレグランスもあります。ホームケア、パーソナルケア、ランドリー製品の香りには、非常に厳しい条件下で果たすべき重要な役目があります。そこから、香料デリバリーシステム(perfume delivery system)の開発につながりました。香料を保護し、必要なポイントまで運ぶ技術で、カプセル化と呼ばれる技術です。

ジボダン社はこのような技術のリーダーです。たとえばを洗濯機の水の中のような環境でフレグランスを拡散させるのは技術的には厳しい環境です。通常、そうした厳しい環境ではフレグランスは希釈され消散します。ではデオドラント剤の香料を一日中持続させるにはどうすればよいでしょうか。ジボダン社が独自に開発した技術は、フレグランスの液体微粒子を適切な状態に保ち、ときには拡散を遅延させたり、防止したりできます。まさにフレグランスエンジニアリングの粋と言えるものです。

フレグランスオイルを保護するカプセル​

私たちは繊細なフレグランスオイルを製品の基剤内で保護する「カプセル」を設計しました。これによって、洗剤、デオドラント剤のいずれでも、香り方のバランスを整え、製品を使用している間中ずっと香りが維持されるようになります。例えば、ランドリー製品であれば、フレグランスを液体のなかで香るようにし、洗濯サイクルに耐えたのち布地の繊維に付着させることができます。香りはどの段階でも感じることができます。洗濯サイクルの中でカプセルの一部が溶け、フレグランスの放出速度を緩めます。別のカプセルはそのままの状態で残り、濡れた洗濯物を洗濯機から取り出すときに割れて、はじける香りを放出します。さらに別のカプセルは、乾いた衣類上で状態を維持し、着るときの摩擦で割れてオーラのように清潔感、清涼感を拡散します。

フレグランスのカプセル化がもたらす香料の性能

創造の機会の創出

]フレグランスのカプセル化は、パフューマーに刺激的な創造の機会をもたらしました。ジボダン社のリードパフューマー、ニコラス・アノーガは次のように説明します。「『乾いた布地』の段階でパラダイムシフトが起きました。より繊細な香りを扱えるようになり、ランドリー製品で使用できるフレグランスの種類を拡大できます。ランドリーというと伝統的にウッディーなノートやムスク、ラベンダーといったノートが連想されますが、それは、以前はそれらがこの製品カテゴリーで必要とされる条件に適していたからです。分子レベルで言うと、これらの香りは長時間持続し、衣類の繊維に付着しやすい性質を持っているため、その場所に留まって、乾いたリネン上でも香りを感じることができるのです。」

カプセル化技術により、今はもっとライトなシトラス系、あるいはフルーツやフローラル系のノートを使えるようになりました。これらはより繊細で、ランドリー製品のフレグランスを非常にバラエティ豊かなものにしてくれます。重力の法則が変わったくらいの大きな変化と言えます。」

より洗練された香りへ​

より洗練された香り作りができるという点で、このフレグランスデリバリーシステムがもたらす恩恵をニコラスは歓迎しています。「調香はコントラストが全てです。ウッディーノートを使う場合、グリーンをわずかに加えないとウッディーさに慣れてしまいます。補足するノートを足すことで、フレグランスの快活さが保たれます。カプセル化によって、「自由な」フレグランスオイルと、カプセル化したベースとを組み合わせることで、こういった複雑な香りを実現することができます。」

香料に関する考察​

興味深いことに、コンシューマー製品分野全体で香りの持続性が求められているわけではありません。よく使う日用品の中には、香りの持続力をそこまで必要としないものがあります。強い香りは必ずしも消費者の主要なニーズではありません。例えば、シャンプーでは強いフレグランスよりも「清潔感」や「優しさ」が好まれます。これは、西側の市場では乾いた髪が香ることは求められていないためです。ただし、アジアには異なる見方があります。

テクノロジーは持続可能なライフスタイルと相容れないことが多々あります。しかし、フレグランスのカプセル化は、私たちの事業に大きな環境的影響をもたらしています。こういった新しい技術を使うことで、調香に新しいルールが生まれています。つまりより少ない製品で、より大きな力を発揮させるというルールです。この技術は近年の環境要件に完全に沿うもので、環境にとって良いニュースといえるでしょう。