engage your senses

フレーバーというアートの実践

ジボダン社のフレーバー事業部は、芳醇で革新的な味を求める消費者に、多彩なフレーバーをお届けすべくグローバルに取り組んでいます。

何千人もの人材、何百もの現場、現地の事業部や部門。それぞれが異なる役割を担っています。しかしながら、当社の行動の中心にあるのは、まさに人間の経験です。フレーバリストが、経験に裏打ちされた幅広い専門知識を駆使し、お客様のために人を魅了する、独創的なフレーバーを開発しています。

キムは、米国シンシナティにあるジボダン社フレーバー部門で働くシニアフレーバリストです。勤続年数20年のベテランで、自ら選んだ道のエキスパートとして、1日に数多くのフレーバーを作り、テイスティングをし、お客様との打ち合わせの手伝いをし、新たなビジネスチャンスを生み出すきっかけを作るなど、消費者に喜んでいただけるフレーバーづくりのため日々、活躍しています。

ミクロ生物学と化学の学位を持つキムの、ジボダン社との旅は、シンシナティの官能評価品質管理部(Sensory Quality Control)で始まりました。当時を彼女はこう振り返っています。「最初に担当したのは、出荷の承認を得るため、1日に100以上のフレーバーをテイスティングする仕事でした。その作業の一環として、完成したフレーバーで各分子がどのような役割を果たすかを解明する、各分子のテイスティングを始めたのです。これを3年続けたことが、フレーバーについて、粒状レベルで学び、知識を深めるうえで役に立ちました。その後、フレーバークリエーション分野に異動し、本当に優れたフレーバリストと一緒に開発を手がけ、学ぶことができました。そして、60人から選抜された6人の1人として、ジボダン社が運営する3年間のフレーバリスト育成プログラムを受講し、フレーバーを創る自分の能力と才能を高めました」。

Red chili pepper, star anise and caramel

   

優れた味蕾

研修を受ける過程で、キムは1,000種類を超える材料と化学成分のフレーバーを正確に識別する必要があり、また、その微妙な違いについてグループで話し合い、それを文章にまとめることも少なくありませんでしたが、何より大切なのは、それを覚えることでした。フレーバリストにとって最も重要な商売道具は、いうまでもなく舌です。キムは、自分のスキルを伸ばすなかで行った微調整の重要性を強調しています。「私たち全員が、フレーバーの違いを正確に区別できるかを調べる、2日間の厳しい試験に合格しなければならなかったのですが、その過程で舌の微調整が必要でした。ほとんどの人は、例えば2つのオレンジを区別することや、その違いを言い表すことが実際にはできないのではないでしょうか。でも、より深く味わうことを続けるうちに、違うエステルやアルデヒドなど、味の中の異なる要素を識別できるようになってくるのです。微妙な違いを分かりやすく明確に表現する語彙を持つことも大切です」。

Kim, Senior Flavourist
シニアフレーバリストのキム

フレーバリストが担う役割で、科学は最も大きな部分を占めますが、創造性もまた欠かせない資質です。キムは、このように言っています。「10人のフレーバリストに20種類の化学物質を渡して、ブドウのフレーバーを作れと言ったら、出来上がったフレーバーで、同じ味のものはないはずです。これは好みの問題であることが少なくありません。例えば、私はグリーン系が大好きですが、ほかのフレーバリストはフローラル系が好みかもしれません。それに、甘い味の要素とセイボリーの要素をミックスさせる可能性もあり、例えば、まろみを与えてくれるクローブオイルをバナナ・フレーバーに加えることも考えられます。この業界には、保守的なフレーバリストと進取の気性に富んだフレーバリストがいます。私は、その中間といったところでしょうか」。

  

今日と言う日は二度と来ない

キムは、事業全体をサポートするポートフォリオ・チームの一員です。彼女自身はフルーツとスイートブラウンを主に担当していますが、野菜やハーブ、スパイスなどセイボリー分野にも注目しています。「常に、進行中のプロジェクトを10件以上抱えていて、1年で手がけるプロジェクトは数百件に上ります。とても急ぎの案件 - たいていは1日か2日以内 - もあれば、実現するまでに数週間、場合によっては数ヵ月かかるものもあります」。

キムがここ最近手がけたプロジェクトで、特に注目すべきものは?「ちょうどピーチコレクションが終わろうとしているところです。マーケティング部と官能評価管理部、アプリケーション部との共同プロジェクトで、多彩なピーチ・フレーバーを作り、いずれにもストーリー性を持たせました。テイスト・トレック(TasteTrek®)シトラスプログラムにも参加させていただいているのですが、これは、お客様と一緒に現場に足を運び、一緒に新しいフレーバーを探求、経験することができる、とても魅力的なプログラムです。新しいフルーツを、もぎたての新鮮な状態で、お客様と一緒に味わうことで、フレーバーを創り上げる相手であり、ビジネスの相手でもあるお客様とのパートナーシップを深化させることができます」。

常にオン!

食べ物と飲み物が身近なところにあれば、それはフレーバリストにとって常に仕事。私生活に仕事が入り込んでくることが多い現状について、キムは笑いながら、こう話してくれました。「先日、休暇を取って夫と一緒に旅行をしたとき、どうしてもグアバ園とコーヒー園に行きたいと言ったら、夫に笑われました。そして、優しい口調でしたが、こう言われたのです。『せっかくバカンスに来ているのだから、”仕事スイッチをオフ”にしなきゃ』」。

キムの仕事は魅力的です。クリエイティブな幅広いお客様との打ち合わせに参加し、新境地を切り拓き、ジボダン社の豊富なフレーバーをさらに充実させ続けています。しかし、彼女は、お客様のニーズを満たし、消費者を喜ばせることができたときに、最も達成感を得られると言います。「お客様と一緒に仕事をすること。それは、私にとって、大きな楽しみであり、仕事での最大のご褒美です。相手の声に耳を傾け、ニーズの把握に努め、課題を解決するために全力を尽くしています」。

「何かを自分のものにして、やがて人を驚かせ、喜ばせることができたら、最高です。私は自分の仕事を愛しています。だから、毎日職場に来るのが楽しみでしかたありません。

「様々なお客様と様々なプロジェクト、様々なフレーバー、そして様々な課題がある。ジボダン社のフレーバリストとしての役割に、常にすべての情熱を傾けています」。